プレスリリース

2020年度

日本郵船株式会社と新造船の建造契約における実海域推進性能保証を導入することに基本合意

2020.09.25

 ジャパン マリンユナイテッド株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:千葉 光太郎)と、日本郵船株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:長澤 仁志 以下NYK)は、新造船の建造契約における、実海域における本船の推進性能(*)を保証する条項を導入することに基本合意しました。

 従来の造船契約においては、波風のない平穏な海象下における船速と馬力の関係から保証速力を定義し、建造中に行われる海上公試運転にて相互確認を行うというのが一般的です。一方、本船引き渡し後の実航海においては、波風のない平穏な海象下における航海は稀です。当社としては就航後に普段遭遇する実際の海象(実海域)における推進性能に焦点を当て、長年に渡り実海域性能向上に関する技術開発を進めて参りました。

 昨今、環境に対する意識の高まりに加え、海上における衛星通信の改善、IoT技術の進展に伴い、様々な運航データを効率良く、また、必要十分な量を収集することが可能となっており、造船、海運における厳しい国際競争の中、実海域推進性能を差別化の源泉としたい当社と、実海域における推進性能の良い船を見極めて調達し、一層の差別化を実海域に求めるNYKの意向が一致し、造船契約における実海域性能保証条項の導入に至りました。

 当社とNYKは、2016年2月に開始した大型コンテナ船に関するビックデータ活用の共同研究をはじめとして様々な研究開発案件を共同で進めており、収集したデータの処理、蓄積、解析手法等に対する共通理解に加え、得られた知見を次の新造船へフィードバックするという良好な互恵関係が、今回の実海域性能保証という技術難度の高い案件を推進するにあたっての基盤となっており、本船の引き渡し後、一定期間必要データを収集し、相互に検証した上で保証値の達成度を確認する計画としています。

 今後、建造時の海上試運転では検証が困難な船型の積荷航海における推進性能の検証などへの展開を考えており、実海域における船舶の性能について更なる改善を図ることは、海運業界に対し、より性能の良い船を提供することに大きく資するものであり、GHGの実質排出量削減にも貢献すると考えております。

 当社は強みである実海域推進性能の更なる向上により競争力を高めつつ、「技術」と「ものづくり」で、社会の発展と持続可能なより良い地球社会の実現に貢献していきます。

* 本件における実海域における推進性能とは「就航後の実際の航海における速力と馬力の関係」と定義します。
不規則現象である波浪中を航行する船は、6自由度の船体動揺や反射波による抵抗増加等により、静穏海域を航行する場合と比較して同一船速を出すための必要馬力が増加します。この増加量は、風向風速、波高、波向き、波周期、潮流、本船の船速、船型、排水量、積み付け状態など様々な要因による影響を受け、設計段階における理論推定や、就航後の実検証においては、高い技術力が必要とされます。