シップリサイクル条約とは
2009年5月香港でのIMO(国際海事機関)総会で採択された「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用の ための香港国際条約(日本語仮訳)」です。 同条約の内容は、船舶のリサイクル(解撤)における労働災害や環境汚染を最小限にするため、リサイクル施設及び船舶 の義務を定めたもので、適用船舶は船内にある有害物質の所在を明示した「インベントリ(IHM)」及びそれに関する「鑑定 書(SOF)」を、船内に備え置かなければ国際航海が出来なくなります。規則発効に伴う繁忙時期を避け、早期のインベントリ 作成をお奨めします。
適用船舶
国際航海に従事する、国際総トン数:500GT以上の全ての船舶。 但し、艦艇・観測船等の非商業船及び寿命の間、国内航海のみに従事する船舶は除かれます。
適用時期
条約の発効日から5年以内に「インベントリ」及び「鑑定書」の船内備え置きが必要となります。 尚、条約の発効時期は明確ではありませんが、EUにおける域内規則の発効により近々の適用が予想されます。
EUにおける域内規則
2013年12月末に、IMOのシップリサイクル条約の内容に準じたEU域内規則が発効されました。 これにより、2020年末よりEU域内に寄港する全ての船舶は非EU籍船も含め、「インベントリ」及び「鑑定書」の船内備 え置きが義務化されます。
インベントリ:IHM (有害物質一覧表)
「船舶に存在する有害物質、廃棄物、貯蔵物の量及び所在」を記載したリストです。
作成目的
船舶に存在する有害物質の情報を明確にすることにより、リサイクル施設における労働者の安全衛生の確保、環境汚染の防止 、有害物質の代替物の開発及び資源の有効利用の促進が期待されます。
搭載が禁止されている主な有害物質 ― 機器リストに記載される。
- アスベスト:パッキン、ガスケット、断熱材、居住区画構成材等
- ポリ塩化ビフェニル:トランス、コンデンサ、電線の被覆・絶縁テープ
- オゾン層破壊物質:冷凍機冷媒(CFCs、HCFC)、ハロン等
- 有機スズ化合物:トリブチル錫(TBT)、トリフェニル錫(TPT)等の船底塗料
機器リストに記載の義務はないが、参考として記載される。
- ジャイロコンパス用水銀
- バッテリーの電極用鉛がリスト化されます。