技術開発

氷海技術

砕氷性能向上技術

船首散水による雪抵抗の低減

海氷の上に積もった乾いた雪の抵抗は意外に大きく、特にラミング時には雪の摩擦に加えて、積雪がダンパーのように氷盤に衝突したときのエネルギーを吸収し、砕氷性能を低下させます。
散水装置は、船底から汲み上げた海水を船首部に配置されたノズルから海氷上の積雪に放出するもので、積雪を湿潤化することで、船体表面との摩擦や積雪のダンパー作用を低減します。特にラミング時の効果について研究を重ね、南極観測船に適用されました。

排氷促進船型

船首で砕かれ沈みこんだ氷片を船の外側に排除しやすくし、船体との干渉を小さくすることができる船型を開発しました。排氷性能を向上させることによって、氷片による摩擦抵抗やプロペラとの干渉を小さくすることができます。南極観測船、砕氷型巡視船、流氷観光船に適用されています。

高耐食ステンレスクラッド鋼の適用による船体表面の長期低摩擦状態の保持

砕氷船の船体表面には海氷や雪が作用して塗装が剥がれやすく、粗度の増大や腐食によって海氷との摩擦が大きくなります。表面状態の悪化を防ぐ砕氷船に適した材料として、JFEスチールとともに耐食性に優れた新しいステンレスクラッド鋼を適用する研究を進めてきました。南極観測船「しらせ」に適用され、優れた性能を発揮しています。

氷中性能評価技術

氷海水槽試験

氷海水槽は氷海船舶の開発に欠かすことのできない試験設備で、各種氷状(平坦氷、流氷、氷丘、冠雪氷、ブラッシュアイスチャンネル等)を再現することができる特殊な水槽です。抵抗/自航試験、ラミング試験、旋回試験、アイスクラス承認試験(ブラッシュアイス中試験)等を実施して、砕氷船の氷中性能を総合的に評価します。また、模型試験では難しいと言われる積雪の影響を考慮した試験も実施することができます。

平坦氷中試験

流氷中試験

ブラッシュアイス中試験

ラブル中ラミング試験

部分旋回試験

ポッド推進性能試験

氷中抵抗の数値計算

氷海船舶の船型開発では、氷海水槽試験による総合的な性能評価の前に、数値計算によって抵抗分布を把握しながら、船型を纏めていきます。氷盤を破壊する時の抵抗、砕氷片を沈める時の抵抗、砕氷片を押分ける時の抵抗等を考慮して船体表面上の抵抗分布を推定し、改善点を探求することによって、効率的な船型開発を目指しています。

氷海航行支援技術

安全で経済的な氷海航行を支援するための研究開発

氷海船舶の運航は、海域、季節によって変化する海氷の状態に左右されます。氷海船舶の性能が計画された航路・運航時期に対応可能か、経済性、航海日程の視点からの評価や、これらの予測計算に基づく適切な航路選定など、氷海域での航行支援に関する研究にも取り組んでいます。

氷海航行シミュレーションの概要