SHIP BUILDER

Munekazu Motoyoshi元吉 統一

呉事業所 艦船修理部 計画グループ

船に刻まれてきた歴史と
対話しながら腕を磨く。

01
hisWORK

大学時代は、研究室で流体力学を専攻していました。船舶海洋分野の学科だったので、卒業後は造船業や海洋系の研究職などに就職する同級生が多かったですね。JMUとは、学生時代から社員の方と一緒に研究をするなど接点もあり、推薦で入社を決めました。面接の時に話したのは「船をつくっている実感がほしい」という話。すると「新造船はブロックごとに担当が分かれているけれど、修理だったら船全体を見ることができるから、手掛ける実感も大きいと思うよ」とアドバイスを頂き、艦船修理部への希望を出しました。配属されたのは、呉事業所。あの戦艦大和をつくった造船所として歴史に残る場所です。街全体からも造船への誇りが伝わってくる、味わい深い土地ですね。

業務は「修理部」の名のごとく、定期点検や故障などで事業所に預けられた船を修理する仕事です。その中でも私が主に担当するのは国防に使われる自衛隊の艦艇、その船体部分です。初めて間近で艦艇を見た時は、やはり圧倒されましたね。修理は電気やエンジン、武器など専門分野に守備範囲が別れますが、船体担当が見るのはそれ以外の全部。構造部材はもちろんのこと、装備品も、乗務員室も…すべてが修理対象で覚えることが山のようにあります。経験が浅い今は、学びながらも確実に進めなければならず、なかなか大変ですが、船全体のことを理解しながら手掛けることができる。面接時の「船をつくる」とは少し違いますが、希望通り船全体に関わっている実感をたしかに味わえる仕事だと感じています。

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hisSTYLE

修理といっても、実際に作業をするのは現場の職人の皆さん。私の役割はお客様の話を聞き、見積もりを作成した上で修理項目を確定させ、現場を動かしながら納期までマネジメントしていくことです。お客様によって「ここが壊れたから見てほしい」とリクエストされる場合もありますが、「調子が悪いけれど何が原因かわからない」というパターンもよくある話。そんな時は、100mを超える巨体のどこに不調の原因があるのかを探っていく、なんとも壮大な仕事だと感じます。ただし、原因究明に与えられる時間も無限じゃない。決められた期限のなかで、素早く修理箇所を特定してさっと直せるように、まだまだ勉強と経験を重ねていかなければと感じますね。

船の寿命は20−25年ほどと言われます。その間、修理を繰り返した船を担当させていただくこともあります。外装からはわからなくても、中に入って見てみると前回修理の形跡などが残っていて、「なるほどこういう直し方をしたのか」「自分ならこうするな」と歴史を想像しながら学べるのも興味深いですね。修理は、担当によってかなり個性が出ます。キャリア数十年の大先輩でさえ「俺はこう思うけれど、正解ではないからね」と言うほどです。裏を返せば、答えは一つじゃないから、自分の正解を探しなさいということ。私も自分のスタイルを確立して、将来中を見た人に「すごい先人がいたんだな」と言われるような、価値ある修理ができるようになっていきたいと思っています。

取材内容・所属部署は取材時のものです。