About Research & DevelopmentJMU TECHNOLOGY

常に新たな技術を生み出し、
造船業界のトップを走りつづける。
それが我々の存在意義です。

Mission技術研究所のミッション

技術研究所のミッションは、造船に関する「新しい技術を開発する」ことで、JMUの持続的成長に貢献することです。そのためのテーマは大きく2つあります。一つは、差別化商品を開発してより高い価格でお客様に買っていただくこと。もう一つは、造船工場の生産性を向上させてコストを削減することです。売り上げが増え、コストが下がれば、利益が増えます。利益を生めば、将来投資ができます。人材、設備、システムへの投資、そして何より研究開発投資によってまた新たな技術開発を行うという成長サイクルを回せるようになります。

日本は四方を海に囲まれており、海外との物資輸送には飛行機か船を使うしかありません。そのうち船による輸送は、実に全体の99%。船の性能を良くすることは、日本の物資輸送の効率アップに直結するのです。島国である日本にとって、海上防衛・安全確保も重要課題。当然、最新鋭の艦船、巡視船の開発・投入も求められます。日本の国土面積は62位に過ぎませんが、EEZ(排他的経済水域)の面積は第6位、海水の容積では第4位と、世界でも上位。資源に乏しい日本にとって、ここに含まれるレアアースやメタンハイドレードのような膨大な海洋資源、および風、波、潮流といった豊富な自然エネルギーは貴重な資源です。これらの資源を活用するための高度な海洋構造物の開発、製造もまた造船会社の重要な役割です。これら全てを開発・建造する当社は、社会の中で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。その中で最も核になる「新しい技術の開発」を担っているのが技術研究所なのです。

Efforts研究開発の具体的取組み

実際に取り組んでいるのは、前述のように商品の「性能・品質・信頼性の向上」と、造船工場の「生産性向上」。なかでも重要なのは、燃費性能の向上です。当社の燃費性能関連技術は世界トップと自負しています。例えば、荒れた海を航行する際の燃費性能です。通常、船の燃費性能は穏やかな海面を想定して設計されますが、実際には波や風がある中を進むことがほとんどです。当社はこの重要性をいち早く認識し、世界に先駆けて開発・実用化に取組んで以降、波浪中や風の中でも燃費性能の良い船舶を送り出し続けているのです。

このような技術開発は、統合前から開発・蓄積してきた各種省エネ技術、膨大な模型試験・実船のデータや、自社保有する3種類の水槽を用いた模型試験、さらには数値シミュレーション(CFD)を活用することにより初めて実現できるものです。技術レベルの高い4社の造船部門が統合した当社の大きな強みと言えるでしょう。

実船データに関しては、船の燃費性能をモニタリングするシステムを他社に先駆けて開発。自社建造船に搭載し、衛星通信を介して送信された膨大なモニタリングデータを分析・評価し、次の商品開発に活かしています。さらに、海のカーナビともいえるSea-Navi®も開発。海上の天気予報(波・風・潮流)をもとに最も燃料消費量の少ない航路を提示し、乗組員の航路選択を支援するソフトです。

モニタリングといえば、ここ数年、実船の構造モニタリングにも注力しています。設計時の想定とモニタリングによる実態との比較・評価の結果を、より軽くより構造信頼性の高い船舶の開発へ活かしていくことが狙いです。

当社が建造する多様な船舶の代表格は砕氷船。現在運用されている「しらせ」をはじめ日本の南極観測船はすべて当社建造で、他にも多様な砕氷船を建造しています。砕氷船の船型開発、氷海水槽での模型試験による砕氷能力の評価、設計、建造まで一貫してできるのは世界でも当社だけであり、他の追随を許しません。

技術研究所では、これまで述べてきた船舶の開発・設計だけでなく、造船工場の生産技術に関わる研究開発も実施しています。溶接ロボットに代表されるハードと、生産工程シミュレーションなどのソフト、両面の開発を行っています。特に、造船工場専用ロボットを自社開発し、自動化率を高めて生産性を上げている点は、他社とは一線を画す当社ならではの強みです。

Vision今後の研究開発の方向性

今、世の中はデジタライゼーション社会と言われるように、IoT(装置のインターネット統合化)やAI(人工知能)といったデジタル技術を駆使することが重要になってきています。船の運航現場でもこれらの技術を用いて、船上の各機器を接続し、それらを統合管理することで、船の生涯にわたる運航やメンテナンス計画の最適化が行なわれてゆくでしょう。また、自動運航や、無人船の取り組みも加速しており、その実現は夢ではなくなりつつあります。

造船工場でも、各種機器や作業員の動きを常時モニタリングし、工程を最適にコントロールできるように変わってゆくでしょう。その先には最少の作業員で最大効率を挙げる最適化された工場、いわゆるスマートファクトリーの実現が目指されます。
当社も、コアとなるモニタリング技術(センサー、通信、画像処理等)やAI技術の研究開発を既に始めており、実現へ向けて前進しています。

造船業は成熟産業と言われますが、実はまだまだやれることがたくさんあって、面白い。
しかし、苦労して開発した技術が短期間で模倣され、他社に追いつかれそうになるということも現実です。それでも我々としては、常にトップを走り続けます。そのために次々と新しい技術を開発していくのです。現在当社は、船の世界の技術力では世界トップと自負しています。建造している船の種類も、商船から、艦船、海洋構造物、作業船、砕氷船等、非常に多彩。いずれもびっくりするくらい巨大な構造物です。これらが海に浮かび水面(水と空気の境界線上)を走る、砕氷船ではさらに氷にまでぶつかる。その研究開発は格段に難しいですが、その分やりがいがあり、「モノづくり」の醍醐味が味わえる仕事だと思います。だからこそ、やる気があり優秀な若い皆さんに、今後も活躍の場を提供していきたい。当社の、そして造船業界の未来を担うあなたにお会いできることを、楽しみにしております。