SHIP BUILDER

Yuki Saito齋藤 裕樹

津事業所
技術研究所 流体研究グループ

まだ誰も見たことのない
船の未来をカタチにする仕事。

01
hisWORK

私が所属する部署は、船の未来を考え、カタチにしていく仕事をしています。たとえば、現在船において重要視されているのは、いかに燃費よく運航できるかという点。船は世界中の海を、たくさんの燃料を積んで日々走り回るので、例えば燃費が1-2%よくなるだけでも年間で数千万、数億円という利益が生まれます。そんな省エネ運航を実現するために、船体やプロペラの形状にはどんな工夫ができるかなど仮説を立て、コンピュータをつかったシミュレーションや、実際に水槽実験をしながらデータ分析。その上で実用可能となったアイディアが設計により形になり、自社製品に搭載されていくという流れです。

研究の中には、このようにすぐに形にできる実用的な技術もあれば、直近では製品にならないけれど、この先の船のあり方を見つけていくような基礎研究もあります。その両方を仕事としながら、現在は日々業務に取り組んでいます。もともと小さな頃から乗り物が好きで、次第に自動車や電車に興味を持ち、高校時代にはプラモデル作りに夢中になっていました。その影響もあり、大学時代は流体力学を専攻。研究室で企業との共同研究が始まった際に、JMUと出会いました。当時は低風圧居住区に関する共同研究がテーマでしたが、その時考案した居住区形状が実船に採用されたこともあり、若くても自分の考えたことが実物になる喜びを感じ、入社を決意しました。

02
hisSTYLE

入社後記憶に残っているのは、Multi ALV-Finの開発です。これは、後部のプロペラ付近に、ALV-Fin®という板を付けることによって、水の抵抗を減らし、燃費を良くするためのパーツ。すでに採用されていたALV-Fin®を複数(Multi)付けることによって、さらに効果が見込めるのではないかという研究でした。コンピュータでシミュレーションし、実際に搭載した模型で水槽実験。成果も見込めて、順調に進んでいき、形にできることになった矢先、つまづいたのは特許の申請でした。自社で開発した技術をしっかりと守るために、特許の文章もしっかりと確度を上げて詰めていく必要があります。なかなか文章が定まらず苦労しましたが、社内の関係部署や弁理士の方との打ち合わせを重ね、ようやく提出することができました。

Multi ALV-Finは現在すでに船に搭載されています。自分が関わって開発した技術が会社の財産として残っていくのは、感慨深いものがありますね。研究の仕事をしている中で、今はもう少し現場に近い仕事もやってみたいと思うようになりました。例えば、設計の仕事など、実際に形になるものを手がけることも、将来の夢の一つです。当社は、手を挙げればチャンスを手にすることができる会社ですから、その夢も叶う可能性は十分にあると思っています。研究の視点を身に着けた設計者として、まだ世の中にないような船を形にしていくことができたら、うれしいですね。

取材内容・所属部署は取材時のものです。