構造技術
強度と軽さ、
造りやすさをバランスさせ、
船としての最適な
構造を追求する。
構造技術開発の概要
船には、船を動かすための機関部やその船が役割を果たすためのさまざまな機械などが搭載されます。 構造技術は、それらの設備ではなく、設備を入れるための船の「ボディ部分」が最適な状態で成り立つように、耐久性や安全性などを研究・評価する技術のことです。
ピックアップ
船のボディはただの1枚板ではなく、壊れないようにするためのさまざまな部品で成り立っています。 また、船の外側では、波や風の影響を考慮し、一方で内側は荷物、設備が収まるようにしなければなりません。
そうした中で、「丈夫で壊れにくく、かつ極力軽くする」という、船にとって当たり前なことが当たり前に叶うのは、複雑に絡み合う技術に目配りし両立させるJMUの高度な技術と、技術者同士の連携の賜です。
また、納品した船の運航中のデータについては、自社開発した「船舶運航支援統合プラットフォーム」“Sea-Navi®”により収集可能です。 この実船データと解析技術、評価技術を組み合わせてサイバー空間上に運航中の船の状態を再現する「デジタルツイン」には、これまで培ってきた構造分野の基盤技術が活用されます。
これからの展望
構造分野技術はこれまで、損傷などの問題を発生させないための縁の下の力持ちのような存在でしたが、これからは引き渡し後の運航や保守など船のライフサイクルにおいて、構造デジタルツインの技術を活かすことにより、ステークホルダーに経済メリットが出るような技術の開発を行っていきます。
研究開発の詳細
船舶、海洋構造物の構造分野における解析技術、試験技術、評価技術、システム開発などを手掛けています。
構造安全シミュレーション
高度解析システムによる
最適な設計
構造物の安全を確保するためには、船体への作用荷重を合理的に推定し応答を精度良く求めて、適切に評価する技術が必要です。
JMUでは長年培った技術と解析システムを駆使して応力レベルを確認しながら、最適な構造設計を進めています。
強度・疲労解析
高精度構造解析技術で
信頼・安全を実現
SANHA LPG FPSOの設計において、SPB®タンク設計で培った高精度構造解析技術を、船体構造および上甲板上のプロセスプラント構造物の設計にも適用し、海洋構造物全体としての高信頼性・安全性を実現しています。
振動解析
高精度な振動予測技術により、
静かで乗り心地の良い船を実現
船の居住空間を静かで快適にするためには、振動が小さい船を開発することが重要です。 近年、エンジンが高出力化されたり、上部構造が高層化されたりするなど周辺環境は振動にとって厳しくなっています。
JMUでは、高精度な振動予測技術を用いて振動性能に優れた船を開発しています。
最適設計
構造強度評価システムによる
構造最適設計
JMUでは、船級規則で要求される構造設計作業を自動化した構造強度評価システムを開発しています。 同システムと最適化技術を駆使することにより、船級規則の要求を満足した上で最適な船体構造を迅速に設計することが可能になっています。
SPB®タンク
波浪中の動揺下での
高い安全性を実現
JMUの前身であるIHI船舶海洋事業本部は、国際海事機関(IMO)の定める液化ガス運搬船に関する国際規則(IGCコード)における「タイプB」貨物タンクの要求を満足する自立角型方式タンク(SPB®: Self supporting Prismatic Shape IMO type B)と、このタンクを搭載するLNG船の技術を独自に開発し、1985年に完成させました。 SPB®方式タンクは、精密な強度解析と疲労・破壊解析に基づく設計と、徹底した工作精度及び溶接品質管理によって、極めて高い構造信頼性と安全性を実現しています。
このSPB®タンクの利点を生かした浮体として、2004年11月 SANHA LPG FPSOが呉工場において建造、引渡されました。 現在、世界中でLNG FPSO(FLNG)を使った開発プロジェクトが計画されており、JMUはその受注を目指しています。
FRP船体開発
各種技術開発により
船体構造の
FRPサンドイッチ化を実現
JMUでは、VARTM成形法(※)をはじめとする各種技術開発をベースに、船体軽量化、耐用年数延長、水中音低減など優れた性能を有するFRP掃海艇の建造を実現しました。
※VARTM成形法: Vacuum Assisted Resin Transfer Molding、真空含浸法