当社は、造船・海洋エンジニアリング分野で培った技術を活かし、世界の物流と海洋産業を支える企業として、環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献します。
海運業界では脱炭素化への対応が加速しており、船舶にはこれまで以上に高い環境性能が求められています。 また、再生可能エネルギーの普及を支える海洋インフラへの期待も高まっています。
当社は、省エネルギー技術、次世代燃料船、デジタル技術を活用したスマートシップの開発を推進するとともに、洋上風力発電関連設備の開発・建造や事業活動における環境負荷低減にも取り組んでいます。
海運の脱炭素化と再生可能エネルギーの拡大を支えることで、気候変動対策、海洋環境保全、循環型社会の実現に貢献し、持続可能な未来を創造していきます。

SDGsへの取り組み

7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう

重要な課題海運のGHG排出量削減・脱炭素化への取り組み

ポイント省エネ技術、次世代燃料、実海域性能向上、デジタル技術の活用

海運の脱炭素化への貢献

当社は日本シップヤード株式会社とともに、高効率な船型開発、省エネ技術、実海域性能向上技術、次世代燃料船の開発を通じて、船舶のライフサイクルを通じたGHG排出量削減・脱炭素化に取り組んでいます。 また、船舶運航モニタリングシステムを活用し、デジタル技術による運航最適化や安全運航支援を行うことで、輸送効率向上とGHG排出量削減の両立を実現していきます。

国際海事機関(IMO) GHGゼロエミッション化と当社の対応

国際海事機関(以下IMO)が国際海運分野からのGHG排出量を2050年ごろまでにはゼロとする目標を掲げました。 当社は、中長期的な脱炭素に向けて、省エネ技術の向上、実海域性能向上、次世代燃料導入などに注力し、海運のカーボンニュートラル実現に向け、GHG排出量削減・ゼロエミッション技術の実用化に取り組んでいます。

2050年までのCO2排出量の推移

省エネ技術による環境性能向上

脱炭素社会に向けて新たな燃料の導入が進む中においても、燃料消費量そのものを削減する省エネ技術は依然として重要です。 当社は船型改良技術だけでなく、現在数々の省エネ装置(SSD®、CRP、ALVーFin®、T-Rupas®、低風圧居住区など)を開発・実用化してきました。 これら技術は推進効率の向上や船体抵抗の低減を実現し、燃料消費量およびCO2排出量削減に貢献しています。 今後もこれらの改良を行なうとともに新しい装置開発を推進し、環境性能向上に貢献していきます。

半円ダクト(SSD®)+SURF-BULB®
二重反転プロペラ(CRP)+舵バルブ

次世代燃料船の開発

さらなるGHG排出量削減には、省エネ技術に加えて、燃料転換が不可欠となります。
当社はLNGを燃料としたバルクキャリアの建造を皮切りに、既に他船種のLNG燃料船も開発が終了しており、今後、これらのLNG燃料船の受注・建造を行なっていく予定です。
また、脱炭素燃料として期待されるアンモニア、水素などの導入のため、商社、海運会社、船級、機器メーカーなど社外関係者とともに研究開発・商品開発に取り組んでいます。

LNG二元燃料バルクキャリア
アンモニア燃料VLCC
アンモニア燃料アンモニア輸送船
主なプロジェクト等
  • アンモニア燃料アンモニア輸送船の共同研究開発
  • アンモニアの船舶燃料利用を目指したアンモニア燃料船の自社開発および共同開発
  • 台船上オンサイト型水素ステーションの検討
  • 「一般財団法人 次世代環境船舶開発センター」への参画

実海域性能向上とデジタル技術の活用

船型の開発は、従来から平水中(波の無い理想的な海象状態)での性能を中心に実施しています。 しかし、実運航時には波浪中を航行する状況が多く、そのような実海域航行時の性能が重要になります。 これまでに、実海域性能に優れた数々の船型を開発してきており、今後もさらなる改良や新船型の開発を進めていきます。
また、性能保証は、通常は建造時の平水中の性能が対象ですが、当社では船舶運航モニタリングシステムを活用し、業界に先駆けて、船舶が運航される実海域での性能保証に取り組んでいます。

LEADGE-Bow®
SP-Bow®

船舶運航モニタリングSea-Navi®2.0を自社建造船に標準装備し、リアルタイムで運航・運転状況をモニタリング、船舶の運航に関わるビッグデータを蓄積、先進の船舶を生み出す研究・開発にデータを活用するなど、船舶の安全運航を実現するサービスを提供しています。
Sea-Navi®2.0には新環境指標のCII(※)評価機能などをいち早く実装することで、船主の環境対策への積極的な取り組みを支援しています。 また、ウェザールーティングや構造モニタリングによる安全運航支援、船舶運航ビッグデータとデジタル技術を使った、お客様(船員・船舶管理)の働き方改革にも貢献しています。

※CII: Carbon Intensity Indicator(年/月間平均燃費実績)

CIIおよび格付けのリアルタイム表示

無人運航船プロジェクト

(公財)日本財団の無人運航船プロジェクト

日本財団が推進する「MEGURI2040」無人運航船プロジェクトにフェーズ1から参画し、今回のフェーズ2においても新造内航コンテナ船「げんぶ」への自動運航システム搭載エンジニアリングを担当しました。 自動運航船として最適なシステム機能、機器配置の実現や効率的な監視を可能とするブリッジ集中コンソールの構築、航行海域に応じたアクチュエータ制御などの開発を通じて、自動運航船全体のシステムインテグレーションを担いました。
自動運航技術は、船舶の安全運航や乗組員の労務負担軽減といった海運業界が抱える課題の有力な解決策の一つとして期待されています。 当社は、これらの開発、実績を通じて、持続可能な海上輸送の実現に貢献してまいります。

日本財団: 無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」

内航コンテナ船「げんぶ」
「げんぶ」船内ブリッジ

自動運航船コンセプトJAVC-C(JMC Autonomous Vessel Concept for Coastal)
また当社独自の内航船向け自動運航船コンセプトJAVC-Cを開発し、ClassNKよりAUTO-Nav2(Co), Nav1(Ha)のAiPを取得しました。

※AiP: Approval in Principle
※AUTO-Nav2(Co): 自動化レベル: 条件付自律(人間の監視下で利用)、利用海域: Coastal
※AUTO-Nav1(Ha): 自動化レベル: 支援(部分的自動化。 意思決定は人間が実施)、利用海域: Harbour


重要な課題洋上風力発電関連設備の開発と建造

ポイントセミサブ型浮体の研究開発

洋上風力発電への取り組みと洋上風力作業船の建造

福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業への参画

当社は、2011年から経済産業省が主導する世界初の浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業に参画し、2013年にアドバンストスパー型の世界初の浮体式洋上変電所(サブステーション、ふくしま絆)を建造・設置し、2016年にはアドバンストスパー型大型洋上風力発電浮体(5MW、ふくしま浜風)を建造・設置しました。 2017年からはこれらの実証運転、保守・メンテナンスも担当し、さらには2020年からは全浮体の撤去工事(デコミッショニング)のエンジニアリングも担当しており、国内企業の中でも有数の実績があります。

アドバンストスパー型
(ふくしま浜風)

大型風車浮体(セミサブ型)の開発とGI基金フェーズ1での取り組み

当社は「福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業」での様々な経験を踏まえて、経済性・製造性・信頼性をキーワードに3つの特性を適切にバランスさせた大型風車対応の浮体コンセプトとして4本コラムのセミサブ型浮体を開発し、水槽試験での動揺性能確認、DNV(ノルウェー船級協会)からのStatement of Feasibility(概念承認)を経て、市場に投入しました。 2022年1月には経産省/NEDOが推進するグリーンイノベーション基金の『洋上風力発電の低コスト化』分野において、当社が幹事会社を務めるコンソーシアムが『浮体式洋上風力発電の量産化及び低コスト化(セミサブ型浮体)』というテーマでフェーズ1の研究開発に採択されました。本研究開発で成果を出すと共に、当社は浮体の建造・供給だけにとどまらず、係留設備および海上工事・据付まで含むEPCI(※)を請け負うべく、社内体制を構築していきます。

※EPCI: 設計(Engineering)、調達(Procurement)、建造(Construction)、据付(Installation)の略称。

大型風車対応の
4本コラムセミサブ型風車浮体
(スケールモデル)

GI基金フェーズ2の取り組みと洋上風力発電の発展に向けて

再生エネルギーの主電源化に向けた切り札といわれているのが洋上風力発電です。 当社は前述したように、洋上風力発電に関連する幅広い保有技術とこれまでの経験を生かして、洋上風力発電の拡大に大きく貢献していきたいと考えています。2024年には経産省/NEDOが推進するGI基金の『洋上風力発電の低コスト化』分野において、当社を含む9社からなるコンソーシアムが『低コスト化による海外展開を見据えた秋田県南部沖浮体式洋上風力実証事業』というテーマでフェーズ2実証事業に採択されました。2030年度末まで継続する本研究開発で成果を出すと共に、幅広い分野の企業と連携し、洋上風力発電の発展に向けて様々な検討を進めていきます。

洋上風力関連作業船への取り組み

日本初のSEP船建造

2019年に施行された再エネ海域利用法に基づいて2021年より着床式洋上風力発電が本格的に始まっています。 この着床式においてモノパイル(杭)施工/トランジション・ピース(接合部)搭載/風車搭載の効率的施工に欠かせないのが、SEP船(※)です。 当社はOil & Gas業界におけるジャッキアップリグ等の建造経験を生かし、SEP船の建造にいち早く取り組み、2018年に五洋建設向けに日本で初めて建造されたSEP船(CP-8001)を引き渡し、その後、大林組/東亜建設向けSEP船(柏鶴)および清水建設向けSEP船(BLUE WIND)を完工しました。 前者は当社のオリジナルデザイン、後者は世界最大級の大型船となり、現マーケットで主流の大型風車(12MW級)3基を同時に施工可能です。 今後もSEP船の建造を通して効率的な着床式洋上風力発電の建設に貢献していきます。

※SEP船: 自己昇降式作業台船(Self-Elevating Platform)

呉で建造したSEP船(BLUE WIND)
SEP船以外の作業船

洋上風力発電設備の建設には、SEP船以外にも調査船やケーブル敷設船、オーシャンタグといった船舶が必要となります。これらの建造においても、当社がOil & Gas業界向けに建造してきたOSV(Offshore Supply Vessel)の技術が大いに生かせます。また、浮体式の洋上風力発電設備の建設では、係留作業に従事するAHTSV(Anchor Handling Tug Supply Vessel)が必要となります。 当社はAHTSVを多数建造した実績を活かし、最新、最適な船舶を設計・建造できます。
当社は、今後も培った技術をもとに、洋上風力発電設備の建設に必要な高性能の作業船を建造・供給していきます。

当社建造のAHTSV(あかつき)

対策事業所の環境保全

ポイント会社方針に基づいた事業所の多方面にわたる環境・省エネ活動

事業所の環境保全と省エネ活動

当社は、「地球環境の保全が企業の社会的責務であるとの認識に立ち、環境と調和した事業活動を推進する」ことを環境理念として掲げています。 各事業所は、ISO 14001(環境マネジメントシステム)に従って、各事業所に配置された環境・省エネ委員が中心となって、環 境・省エネ活動だけでなく、全社の環境・省エネ施策のコンセンサスを得ながら、環境・省エネ目標の達成に向けて推進しています。 それらの活動は、環境・省エネ委員会で定期的に報告され、継続的な改善に努めています。

電力使用量削減に向けた取り組み

当社の使用エネルギーのほとんどが電力で(わが社の電力使用量は全エネルギー使用量の約90%)、その年間電力使用量は一般家庭の約50,000倍(環境省資料による)にもなります。 つまり、事業所の省エネ対策の第一は、電力使用量を削減することにあります。 全社員の高い省エネ意識のもとに、工場の照明機器のLED照明への変換、昼休みの事務所の消灯、一斉休業日の設定、変圧器のトップランナーへの変更、環境・省エネ委員による巡回パトロール等々の地道な努力を続けています。

環境・省エネ委員による
巡回エネパトロール(呉)
照明のLED化推進(磯子)

廃棄物対策について

循環型社会形成基本法(3R)を遵守するために、サプライチェーンから排出される保護材の削減や分別の徹底により、一般廃棄物、産業廃棄物を減らし、再資源化率を高める活動に取り組んでいます。 また、化学物質排出把握管理促進法を遵守して、対象化学物質の排出量および移動量を厳格に管理しています。

木製電線ドラムの回収/
再資源化(津)
3R活動(呉)

海洋汚染防止、水質汚濁防止、大気汚染防止等の活動について

当社はISO14001に従い、海洋汚染防止法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、化審法、PCB処理特別措置法、フロン排出抑制法、水銀に関する水俣条約等の環境に関する各種法規を遵守し、環境保全を最優先とした活動に取り組んでいます。
また、油濁汚染水の海上への流出を想定した訓練を実施し、万一の事態に備えています。

総合排水処理場の
緊急事態訓練(呉)
海洋汚染防止訓練(津)

一人ひとりの環境に対する意識改革について

当社で働く社員一人ひとりが環境保全に対し高い意識を持ち、より高い効果を得られるよう環境・省エネPCBの厳格管理(津)データをパソコンや電子掲示板に表示する活動も行なっています。

建屋への意識啓発の
掲示(因島)
電子掲示板に表示された
環境・省エネデータ(津)